J’aime le théâtre♡

観劇日記。

『ある馬の物語』

3年越しの初日㊗️

うぉー最前列だった!

 

すげぇ馬だった

すごいフィジカル

2足で立ってる人間の俳優なんだけど、馬を正面から見てる感じに見えたよ。

産まれたての仔馬もサイコーだったな

 

"最良の時"とか言って競馬で勝つことに喜んでたのがいちばんグサっときたよね。

公爵に所有されて(愛されて?)嬉しい顔をしてるのも。

 

老年についても。

 

役に立つとか立たないとか…

死後までそれを言うの?

人間の尺度で!

 

グッタリだ

斬新な美術や演出にワクワクし、俳優のフィジカルを堪能し、音楽に酔い、とっても愉しい観劇だったのに、なんかすごく喰らってしまってグッタリしてる今。

 

最沈下の最前列通路席、あれはもう厩舎の中でしたわ。

客席通路もたくさん使って、目の前とかすぐ隣とかに居るし耳元で歌われるし。もう。

 

成河さんとにかくすごい。42歳のやることじゃないよな。

捌けるタイミングもあんまり無いから舞台上で馬に水やる体で飲まされてたじゃんw

 

パンフに書いてあった、当初は馬事公苑2020馬術会場になることに因んで馬関連の芝居をやりましょうという企画だったって愕然。たぶん全然違う感触になってたよね。あぁでもキノカブ三人吉三と同じく、オリンピックのお祭り騒ぎに一石を投じる意図だったのか。

 

「現代の工事現場のように見える場所。ひとりの老作業員の足場が揺れる。どこかから馬群のいななきが聞こえ始め、男はホルストメールという馬になる。そして、"年老いた醜い馬の物語"がはじまる。」

そうかこういうことだったんだ。

老いた作業員が転落死するのとホルストメールの最期を重ねてるのか

 

こないだ劇場ツアーで見せてもらった楽屋へ通じるドアもエレベーターも丸見え機構丸出しなところに足場が組んであって、開演前から作業員の服を着た人たちが出入りしてるし、劇の入りも1幕終わりや2幕の始まりも客席現実世界と"地続き"な感じだった。1幕終わりソリであんなに大盛り上がりした後に成河さん自分でベルト外して降りて行ったり役者どうし談笑しながら捌けて行ったり、建築家とアッシリア皇帝の時っぽかったよ。

 

冒頭で透明のビニールシートにくるまれて吊り上げられて捕獲されたみたいになるのも凄かったし、あれ?処分とか言われてたけど?と思ったのはラストに繋がってやっぱり処分された、最期の時のいななきはリアルで震えたし、ビニールシートに血が迸った生々しさ凄かった。

 

コニタンのハンサムっぷりは見どころだった。オスの美の体現にしっかりなりつつ笑いにもしてる。バランス間違えるといろいろ台無しになっちゃうかもしれない微妙なラインだと思うけど良い塩梅だった。

桂ちゃんの雌馬も綺麗だったよ。

 

そう言えば、ホルストメールの肩に黄色い蝶々がとまる(成河さんが自分でヒラヒラさせてるんだけどね)シーンがふと思い出されたけど馬と蝶々って一見単純に牧歌的な風景にも見えるけど、思慮深さや知恵とも繋がるっていうのと、あとやっぱり儚さとか移ろいやすさとか不吉なイメージもよぎるよね。

 

あ、うんうん、印象に残った台詞ね…公爵は愛されるために誰も愛さない、って。

 

そうだよなホルストメールは去勢馬なんだ。賢いようだけど、やっぱ人間の価値観に取り込まれてしまっているんだ。

私たちのようだ。

あぁ、パンフの白井さんと亀山郁夫さんの対談で鞭と去勢の話してたわ。なるほどなーそして全然よそごとに思えない。