J’aime le théâtre♡

観劇日記。

PARCO『桜の園』

プレビューの1回だけでもういいかなと思ってたけど、御縁あって終盤に2回目観れて良かった。だいぶ高解像度で観れたし台詞も入ってきたもんね。

 

笑えない

劇場になんて行くべきじゃない

ってラネーフスカヤ(とロパーヒン?)が言ってたけど

 

ホント、心身元気じゃないと観に行くことができなかったよ。

突きつけられることに耐えられないとね。客観視できる余裕が無いと。

 

この世はうんざりな閉塞と呆れちゃう乱痴気騒ぎよ。

(エピホードフもシャルロッタも銃を手にしたくなるような閉塞の中にいる)

 

やっぱり八嶋さん成河さんの対峙は見応えあった。

ロパーヒンのやるせなさや哀しさや孤独が、プレビューの時よりも際立つ演出になってたんじゃないかな。私の受け取り方かしら。でも、客席に降りたり最前のお客さんにピンポイントで話し掛けたり、以前よりもこちらへ向けて語りかけるようになってた気がする。そうよね、もうどうしようもなく資本主義に取り込まれている我々。

トロフィーモフの空虚さは相変わらず刺さる。成河さんのキラキラの根底が強固になっていたから、うっかり引き込まれそうになってまた虚しくなる。アーニャのように夢を見ることは私にはできないから。

 

みんな自分の音楽しか聴こえてない。

 

1幕の蝉の声、

2幕乱痴気パーティーのビート音、

それが止んだ時の恐ろしい静けさ。何か異変を告げるような。

 

仕事で疲れ切った夜に人生の意味がハッキリと分かるってロパーヒン言ってたな。

生きてる!と思えるってことかな?

 

ラネーフスカヤもだけど、特にガーエフにめっちゃイラついたわーあの演説癖とか。あ、ラネーフスカヤも、亡くなった坊やのことを気にしているように見せかけている(自分でも都合良くそこに浸っている)ところがものすごく嫌。

 

冒頭♪Cherry baby〜の敬三さんがドゥニャーシャとロパーヒンからビニールシートを剥がして始まり、最後はフィールスにビニールシートを被せて石棺が降りてきて幕だった。そっか…Cherry, can you come out tonight って歌ってるんだな…

 

そう言えば、頭上のあの石壁が白く光って"桜の園"を現していた時があったかな?

旧いもの、か。

 

桜の園」って元々は"古き佳きもの"を愛おしむような視点なのかな?近代化批判とか。まぁそれを強く演出することもできるわな。