J’aime le théâtre♡

観劇日記。

キノカブ桜姫 2/11夜(東京前楽)

なにやら演出に修正が加わっているらしいと聞いて楽しみに臨んだ3回目。

 

荒木さんが体調不良のためお休みで、舞台上での生演奏が無かったのはちと寂しかったけど、DJテーブルの場所はなんとお菓子テーブルになっていて!役者たちが出番ではない時にそこでリアルにお菓子を食べたりジュースを飲んだり、休憩後に幕が開いた時などは何人か集まって飲み食いしながら談笑していてまるで彼らも休憩時間をそこで過ごしていたように見えて。

 

その演出は、我々観客の意識をより"見物エリア"の人たちへ向けさせる効果があると思った。「桜姫東文章」はあくまで劇中劇であって、私たちが観ているのは「桜姫東文章という劇を上演している人たちの劇」なんだよな。当パンの配役表には例えば静河さんの役名は桜姫となっているけど、その間に実は「桜姫役をする女性」の役が一つ挟まっている。それは静河さん本人ではないが、たぶんかなり本人を投影している。だから仮にシズカさんと呼びましょうか。そんな感じ。

お十に「出ました。また人をモノみたいに」とか言わせるのは安部さん演じるアベさんだし、半十郎があんなに苦しそうなのは石倉くん演じるイシクラくんの気持ちなんだよ。

 

アベさん(安部さんではなく!)は、この劇に参加することにあまり気が乗ってないんだろうな。どうしても納得いかなくて。

彼女はお菓子テーブルでの談笑にも加わってはいなかったし、見物する時もわりとひとり離れてることが多かったような気がするし。

終盤、見物エリアのみんなはどんどん集中して前のめりに芝居に惹き込まれてしまってるように見えたんだけど(それくらい強い物語だもんね。南北よ!)、でもそんな中でアベさんはひとり抵抗するように後ろでユラユラしてて。(納得いかない気持ちと白いポーチのブン回し具合が比例してて面白かった。お十が身代わりにされるとこでいちばんブンブン振り回してたよね!)

そしてラストは中央前方に立つシズカさんのところにアベさんが駆け寄ってきて、2人で顔をキッと見合わせ、シズカさんは都鳥をアベさんに手渡しアベさんはそれを後ろへ高く放り投げる。そしてイタバシさんからの大向こうハレル屋!爽快だったな。

都鳥を捨てたのは桜姫やお十ではなくシズカさんとアベさん。そうだよねやっぱそう思うよね!って頷き合っていたように見えた。

 

そんなふうに観てけっこう腑に落ちてる。