J’aime le théâtre♡

観劇日記。

青年団『日本文学盛衰史』

文学とは何か、人はなぜ文学を欲するのか。

人には内面というものがあるらしい。
そして、それは言葉によって表現ができるものらしい。
しかし、私たちは、まだ、その言葉を持っていない。
この舞台は、そのことに気がついてしまった明治の若者たちの蒼い恍惚と苦悩を描く青春群像劇である。

このチラシコピーに惹かれてたところ、成河さんがブログで紹介してくれたことで演劇の台詞や演技という視点も得てより楽しめたように思う。

 

高橋源一郎氏の原作小説はものすごくケッタイでビックリしたんだけど(え?何これ?って得体が掴めないでも意外とグイグイ読み進んだし何か熱かった)、劇の方が受け取りやすかったし面白かった。まぁ原作を読んでおいたお陰かもしれないけど。

あと、美しきものの伝説とか鷗外の怪談とか一九一一年とか文スト()とか何だかんだ下地があるのは絶対にアドバンテージ。この辺りの時代の熱さは結構好きなのかもな。

 

はじめての青年団。おぉ〜これが噂の同時多発会話か。座敷のあちこちで会話がされている。

 

先に正解を知ってしまってるから

でもどうやって辿り着けばいいのか分からない

文学だけでなく、西洋の"翻訳"で急激に近代化を推し進めた我々の社会の弱点。だよな。

 

東京よりも日本よりも、頭の中は広い。政府はそれを恐れるようになる。

 

あぁ樋口一葉が「大つごもり」をグダグダ語ってたあれがチェルフィッチュ岡田利規なのか!『三月の5日間』

"鈴木メソッド"は国木田くんがそれで歩いてたね。

 

私たちは国民国家を作るために、新しい日本語を育てた。

しかし、これからは、言葉は日本国にあだなすものとなるでしょう。

国家もまた、言葉を敵とするでしょう。

 

なるほど、日本語を作ることは国民国家を作ることだったんだ。そう言えば『國語元年』ってあったよね。

文学の発展は国家の発展に寄与することだった時代。それに精魂傾けた文士たち。

しかしいつしか言葉は国家の敵になった。

 

デモクラシーは「滅びるね」とハッキリ断言している漱石

 

旧世代に勝利して、いまから、僕たちの時代

が始まるんだと思った。

でも、ラスボスは、全然、違うところにいた。

 

そうよね、この後この国は軍事政権が動かすようになって、一旦壊滅した。

 

日本は滅びた、でも文学は残った、日本語も残った。(確かに、日本語が残らなかった可能性もあったんだよな…)

21世紀にはもう小説は読まれない。誰にでも書けるけど誰も読まないものになっている。やがて機械が書いた"最強の小説"を機に小説は二度と読まれなくなる。だけど機械が読むようになる。不確定な電子の動きを明晰に描写した"究極の小説"が生まれ、それを読んだ機械たちは"自由"を思い深く感動する。

数億年の沈黙。その後、どこかの惑星にまた一人の北村透谷が生まれる

田山くんが泣いてる。

 

この「機械」って現代人のことかも?

あぁそうかタイトル"盛衰史"だもんな。

 

なんか、不確定性原理って、すごい希望なんだね芸術にとって。

 

文豪たちがLINEやtwitterを駆使するのは原作でもそうだったけど、幸徳とスガ子さんがミルクボーイで"共産主義"なんて大笑いしたし、電通ネタも演劇人の自虐で笑っちゃった。少女像の例にはドキリとした。

 

"日本演劇盛衰史"が読みたいし観たいなー!