J’aime le théâtre♡

観劇日記。

『湊横濱荒狗挽歌〜新粧、三人吉三。』

いやーこれは極上の芝居だった!めっっちゃくちゃ面白かった。別に任侠ものとかハードボイルド系とか全然好きな訳じゃないのに、ホンや言葉にも惹かれたし演出も洗練されてたし役者が全員ホント魅力的で、全登場人物が其々にすごく印象深かった。

いやマジで全員。何あのどーしよーもない親父たち。じょじょさん😭。部下にも右腕にも舎弟にも其々の葛藤。子世代は解き放たれて欲しいよ。すべてを呑み込む鯨楼の人形師とヒトガタちゃん。愚かで哀れな人間たちを見つめるヒトガタちゃんの眼差し。


ババアの厚化粧を一皮剥けば表れる横濱の裏社会。2020オリンピックにぶつけて芸劇で吉三を上演しようとしてたキノカブと同様の意図があるよね。

中華街や山下公園を横目にしながらやって来たKAATで、なんと客入れ時から芝居は始まってるし、この物語と私たちの現実世界との地続き感。やっぱこの劇場で聴く汽笛の音って特別な効果があるよ。


玉ちゃん久しぶりに観たけどやっぱ魅力的だな。良い声。イっちゃってる感じと純真さ寂しさ哀しさを同時に出せる。晶とフルーツポンチ喧嘩「てめぇさっきからイチゴばっか食ってんじゃねーよ!」「うっせーなイチゴ好きなんだよ!」のとこwや新井さんと戯れ合ってるとこの空気感たまらない。親父に連れられ最初に挨拶させられた時も凄かったな最初はあんなに腰が引けておどおどしてたのに。ラスト階段上から見下ろす可愛い子どもみたいな表情すごく良かったなぁ。親父を撃った後船に乗ろうと清々しく言う顔も。


自分で選んだ自分の人生を生きたい渇望。


おじさんたち各々の造形と3人の関係性の滲み出方が凄かった。中でも警視がじょじょさんに「あんた可哀想。自分では何もしてない。何も関わってない」と言われて愕然とした時は本当にエグられた。


人間らしくなろうとして、見て学ぶヒトガタちゃん。ラスト若者たちが出て行った扉の外から差し込む光に目を見開いていたね。じょじょさんの嫌いな観覧車じゃない、外洋へ漕ぎ出して行く若者たちの姿が見えたかしら。

でもじょじょさんもさ、自分は観覧車に乗ってるしかできないことが分かってるから、産んだ子どもを捨てるんだよ。森フォレの女たちとは違ってキッパリ捨てる。本当は未練があるから鯨楼を訪れちゃうんだけど。

岡本玲さんもきっとそれを感じたんじゃないかな。

あれさ、船のチケットって6枚あったじゃん?子どもたち3人と、舎弟くんと、あと2枚はラサールさんとじょじょさんの分だといいけどな。でも、あと2枚あることをあのふたりは知る由もないのかだから観覧車乗ろうよとか話してるのか

ヒトガタちゃん那須凛さんはあの那須さんの娘さんなんだって!客入れ中に動いてる!って気づいた時(上手の部屋のベッドでラサールさんもモゾッと動いた)は驚いたな。


シライケイタさん、開演前も後もロビーに立ってらした。役者を見せたいんだって。なるほど全キャストがものすごく魅力的に見えたわ。素晴らしかった。

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シライさんも野木さんも、とにかく人間たちが必死で蠢きぶつかり合う様を映し出したいんだね。ヒリヒリがたまらねぇ!って思うんだね。そうだそうだ、情念。


木ノ下先生のオンライン講座「歌舞伎ひらき街めぐり ~木ノ下裕一の古典で読み解く江戸⇄東京講座」第1回がタイムリーに吉三と両国についてで大変面白かったんだけど、過去記事を読んだらあゝこれこそ木ノ下吉三のベースの考えだったんだなぁ、と。

https://spice.eplus.jp/articles/268472

ホントつくづく、観たかったよ。


https://twitter.com/keikei_keita/status/1437025840148070408?s=21

ほぉ!解き放たれる希望はシライさん発信だったんだね