J’aime le théâtre♡

観劇日記。

NODA・MAP 『Q』: A Night at the Kabuki

名前、ね。

最近よく考えているテーマだから興味を惹かれた。

 

「名を捨テロリスト」

「名を拾イズム」

 

巷に溢れる匿名の言葉

ロミジュリの「この名を捨てよう」

名も無き兵士として死んでいくこと

 

あれぜーんぶジュリエの回想だって最初から知らされてるのに、ラストで改めて思い出さされてあゝ!😭ってなるね。

 

平家物語とロミジュリを絡めた戯曲でクイーンを使って。冒頭シーンは俊寛?と思ってたらシベリア抑留に繋がっていった。

野田戯曲らしい持って行き方、言葉遊び、巧いなーと思うし刺さる台詞もあるし、演出の面白さもあるんだけど、つい最近パンドラを観てるからさあまりにも風味が似てる気がしちゃってね。

 

言葉遊びの部分を面白く観せるのってすごく難しいんだなと改めて思った。その点でも、身体の動きも、声も、俳優としての野田さんやっぱ好きだな。声はちょっと枯れ気味だったけど。

 

クイーンが刺さる!という人だったらグッとくるポイントも多いのだろうけどそこは私は残念ながら。アルバムタイトルをもじってわざわざ A Night at the Kabuki にしたのなら、ジュリエはせっかく松たか子さんなんだから、どうせならロミオは歌舞伎俳優を起用すれば良かったのにね。

 

ひゃっ!あの巴は伊勢佳世さんだったんだ!印象的だったなー。途中で存在を思い出した時アッ!と思った。

名も無き兵士として朽ち果てるより、探し求めて来た巴に「おのれロミオ!」と殺された方が良かったんじゃないかとか、そんな考えがよぎる。

 

2組のロミジュリが重なったり入れ替わったりする演出はどこも素敵だった。

 

「面影」って言葉、野田さん好きなのかな。

竹中さん演じる平凡太郎が「水を」と言った時はヒャッてなったな。

 

 

『ミス・サイゴン』

初見です!こんな話だったんだ!

 

そうかキムはあのクリスから預かった拳銃で…。でも正直あれは正解だと思ってしまった。『ブラッド・ブラザーズ』の母親よりもよほど賢明だなーと思っちゃったんだよね。

エンジニア膝を折って打ちひしがれてた。良い人だよ。何だかんだキムにもタムにも情を覚えてる感じしたし。

 

いちばん哀しくて泣けてしまった曲は「アメリカン・ドリーム」だった。あんなに夢見てはしゃいでる姿がやるせなくってねぇ。

伊礼エンジニア3年越し?の初日おめでとうございます!「好きで混血やってるんじゃない」の台詞が沁みたわ。

 

はぁーラストのタムのセーターの柄がもしやと思ったらやっぱりミッキーマウスでさぁくぅぅぅぅーとなるよ😞

2幕初めの「ブイ・ドイ」アメリカ人たちの威風堂々としたタテマエソングもキッツイ。「ゴミクズ」!?「みんな我が子だ」とかも言ってたよね😨

 

こないだテレビで視たBWの歴史も思い出しちゃう。この作品はロンドン発でしょ?

89WE初演、91年からBWだって。85レミゼに続く、シェーンベルク&ブーブリルによる2作目のヒット作。

白人による白人のための作品だという批判はまぁあるわな。いかにもなオリエンタリズム

社会主義の描き方にも時代を感じる。

そしてこれはアメリカで作られた作品ではないけれど、ずいぶんヒットしたということはアメリカ人たちはこれを "アメリカの今を描いている" と受け取ったのかな。

初演当時のBWではキャスティングを巡っていろいろあったみたいだね(エンジニアの設定はここで混血のポン引きになったらしい)。近年の動向の先駆けとなったのかもしれない。

 

シェーンベルクはふと見た雑誌に掲載されていた写真ベトナム人の母が子どもにより良い生活をさせようとタンソンニャット空軍基地から元GIの父親の待つアメリカへ送り出そうとしているから着想を得たとwikiに書いてあった。彼はこの母親の行動を「尊い犠牲」と考え、作品の中心テーマとすることに決めた、と。

まさにこれは欧米至上の見方であり批判の対象になる点だと思うけど、私もBBの母親よりキムに共感するということは、似た捉え方なんだよな。しかしもちろん一方で、『パンドラの鐘タマキの「待ってるなんてバカ!死ぬなんてもっとバカよ〜」も頭の中に聴こえてくるけど。

 

トゥイもすごく深みのある登場人物。大貴くんとても真実味があって良かった!亡霊になって現れた時の佇まいも良かったよなー。マタハリのピエールの時に「七五三みたいw」と光夫さんに揶揄われていた軍服姿、そういうあんまりシュッとしてないとこもトゥイにはマッチしてる。

決して只の憎い敵役ではない、キムとの間には互いに幼馴染みの情もあるし、トゥイは親の言いつけや自国の伝統的な価値を大切にしたいちゃんとした人で、彼の正義の中で懸命に行動していて、だから解放戦線("ベトコン"は南側からの蔑称なのね)に加わって実績も挙げ(それによって"正義"はより強固になり)アメリ=クリスを憎むのも分かるし、キムへの執着はいろんなものに起因していてすごく複雑で(その中に彼女への一途な想いも間違いなくある)。そういうことがちゃんと感じられた。

そんなトゥイを、我が子を守るためとは言え撃ち殺してしまってキムは罪の意識を背負うことになり、それは彼女が最後に死を選ぶ理由の一つとなったに違いないよね。

あ、でも、そっか、ベトコンに加わるということはキムから見れば親を殺した敵方への寝返りだったのか。複雑だね

 

やっぱ海宝くん昆ちゃん大貴くんの並びは嬉しかったなー。

えっ?海宝クリスも初役だったの!?全然知らなかったよw昆キムともお似合いだし大貴トゥイと睨み合うのもアツいし、この3人で観れてホントに良かった。他の組合せだときっとまた違った見え方になりそう。

 

伊礼エンジニアはとても腑に落ちたし、理生ジョンと知念エレンは"アメリカ男性""アメリカ女性"(アジア的なものと対比して描かれた)の体現としてすごく"正解"な感じする。

エンジニアが市村さんとか駒田さんみたいな年齢って既に私の中で納得いかないもんな。元々の設定はベトナム人のクラブオーナーだったのかな?それだと市村さんとかに合うけどね。

伊昆海西は今回少なくとも帝劇では1回限りなんだわ😳 我ながら良い回を観たと思う。マイオリジナルキャストになるよ!

 

ほぉ、この公演、スウィングやインティマシーコーディネーターを導入するなどなかなか進歩的。そうね、キスとか身体接触めちゃ多いなーと思ったもんね。

 

 

『導かれるように間違う』の余韻

さい芸千穐楽で観納めた後とても強く残っている余韻が、あゝこれまさに「殺傷能力は無いけどトラウマを残す爆弾」だったなぁと。

 

楽日にして初めて正面席で浴びたせいもあるのか、ある者が外の世界について夢見がちに語るのを遮ったクマちゃんの強く甲高い声「そんな世界はどこにもない!」がやたらと耳に残っていて。

ある者がキラキラした顔で "いかにもな美しい世界を思い描くのを見て、大杉栄とかあの辺りの人たちを連想してしまったり。

 

ある者は、安全な場所なんて無いぞと世間に思い知らせる目的でこのクマちゃん爆弾を作ったらしい。

殺傷能力は無いけどトラウマを残すクマちゃん爆弾

え?これってもしかして演劇とか芸術のことじゃないの?まさにこの作品のことじゃない!?と、さい芸からの帰り途にふと思い至ってしまった。

楽しくて面白かったけど、何やら怖さ・薄ら寒さを残す。棘が刺さったみたいに、小骨が引っ掛かったみたいに残ってる。

演劇人・芸術家って、我々観客の "平穏な日常を揺るがす、誤解を恐れずに言うなら "テロリストだ。疑いましょうよ、一旦壊してみましょうよ、と投げ掛けてくるもんね。

クマちゃん爆弾で子どもたちが失明したり指を失ったりしたのは模倣犯の仕業。同化効果だけに終始するようなまがいもののゲイジュツは実害を引き起こす可能性もあるということも示唆しているのではないかな。

 

安全な劇場なんて!と成河さんもよく言ってるよな

そうそう「脱構築」ね

などと、頭の中でいろんな思考が繋がってくるような気がしているけど、あら?これって果たして私自身の思考なのかな?と疑わしく思われてくる。

だって、恥ずかしながら明らかに成河さんのコトバにはだいぶ影響されてますからね。

ファンじゃんね。信奉者とかではないって言い切れますかね。内容わからないけどこの人が出てるなら間違いないとか言って数ヶ月も先の千円のチケットをホイホイ複数枚買ったりするんだよ?w

やっぱりここグッサリ刺さっちゃうなぁ。

ある者が出会った人に次々と影響されていく様子も、実は結構身につまされるから観ていてちょっと気まずい。

自分の頭で考えてると思ってるけど、所詮は推しの語る言葉や過去に観た作品の中のアイデアをなぞっているだけかもしれないぞ?それは他人の思考じゃないのか?

でも、いやいや、芝居や言葉に触れて私が受け取っていることは私のもの、それは私の思考すなわち私なのかな、とも思うけど。

 

私とか個とか言うけどそもそもそれ何よ?と思えてくる。「そも私とは何じゃいな?」だね!ややこしやー「すべての同一性は仮固定だ」と言ってたのはドゥルーズだったっけ?(こんなふうに参照できる知識の蓄えはまぁまぁあるんだよな)

ある者にとって確かなのはカラダがここにあるということだけで、「身体だけが僕の味方なんで」と言ってたけど、この作品を観ていてすごく、身体って "容れ物なんだなという気がしてきた。

わ!身体カラダ空だ!?

こんなことを考えてる流れで、今度さい芸でやる『わたしは幾つものナラティヴのバトルフィールド』って興味深すぎてチケット取らずにはいられなかった。しかもこれ岡田利規さん作演来年のキノカブの予習にもなるじゃん♪ってまたファン思考御免。

 

土井さんは "ある者の中身だった者なんじゃないかなと考えているんだけど(id イド?)、

大風の中である者と土井さんが互いに手を取り合うあのラストを、俳優(俳優のカラダという容れ物)とその中身(それは観客が受け取ったものイコール観客であるとも言える)なんていうふうに見るのは妄想が過ぎるかしら。

でもあまりにフッと暗転してしまう幕切れには、出て行った彼らが幸せになったとか正しかったとか決して思えないよね。やっぱり間違っていたからダメになっちゃったかもしれない、生きていけなかったかもしれない、という気もするから、安易なハッピーエンドじゃなくて大変よろしいと思う。

7/21に『2020』を配信で視た今だと、ある者と土井さんは融合して「肉の海」になってしまったようにも思える。こうやってどんどん肉の海が拡がっていく、その一端を見たような。「肉の海」という表現は「スープ」と言ってたのと繋がるよねぇ。

 

ところで、ファンとして(開き直りw)考えちゃうけど

「そんな世界はどこにもない!」とかさ、江口に影響されちゃった時の「大丈夫」とかさ、成河さんが演技でそういう力強さを出す時ってやっぱグワッと惹かれてしまうよね。義経とかマイヤーズとか、やっぱそんな成河が大好きじゃん?

「みんな大好きこんな成河」とか「()カッキー」とかあると思うけど、もしかしたら俳優は自分のカラダにそういうのを "入れさせられてる感じがしちゃったりするんだろうか。堕ちてボロボロになってくカッキーたまらん😍とか言っていつもゴメンネと思ったりしてるけどw

 

ともあれ、余韻を長く味わえる作品は佳きですわ!

 

 

『導かれるように間違う』と『夜を走る』のコンボ

『導かれるように間違う』2回目は更にいろんなコトバが引っ掛かる…というか、そうだそうだそんなこと言ってたわ!と、前回観たとき引っ掛かってた筈なのに思い出せてなかったコトバたちにハッとする。

 

「オンリーフォワード」😨

「先導者」…ってやっぱり"空気"かもしれないよな。みんなが従っている。

 

クマちゃん「殺し屋だよ」って言ってた。

「ある者」はクマ型の時限爆弾を作ったんだったね。複数の子どもが犠牲になったけど全てが彼の犯行ではなく模倣犯の仕業もあって、でもそれだって彼に責任が無いとは言えないみたいな会話(つまり彼の内省だな)を後で額縁のとこでしてた。

 

「監視システム」

額縁の中はある者の頭の中のイメージつまり記憶か。脳内。

ファンの子の姿で顕われてたんだ。

ラスト、風の中で土井さんすごい笑顔だったなぁ。

あの2人は同一人物なのかな?…あ、あの子は「ある者」の中身だった者か!?

あの監視システムだって、自分の中に生来持っているものなんじゃない!?

 

スープかぁ。すっごい引き(あるいは細胞レベルのすっごい寄り?)の目線で見ればそうなのかもな。

 

大風が吹いてゴミ屑だらけの、キレイじゃない混沌とした世界の中で。

そんな外の世界を、"清潔"な病院内から、怯えながら見ている亀ちゃん江口たち。

 

江口、怖いよなー。マジヤバい人。

強制する人でもあり、縛られる人でもある。犠牲者でもあり加担者でもあるってやつだ。いちばん病気だよね。クスリないといられないし。

「生きろ(反語)!」って土井さんに言われて自傷してた?

「生きてるように死んでる(反語)!」んだよね…

 

そっか退院して行く先は適応訓練施設ね。

 

踊りとか、号令や音楽に合わせようとすれば合わせることができて、揃うと好都合だったりちょっとした達成感や気持ち良さにもなるしっていうのも怖い。演劇の同化効果について考えちゃう。

 

冒頭の海岸の絵は以前ドイツ人のピアニストが描いた絵で「ある者」の最初の語りはそれを取り込んでる姿だったんだね。

あの3枚の絵は、退院後の道のことだろうか。色味は違うけど3枚とも同じような絵に見える。

 

上手サイドの方が成河さんの顔が見えることが多かったかも。近かったし、とてもリアルに感じた。

真似っこスイッチが入ったとき目の光でそれが分かったりしたぞ!すげぇ!

 

からの、

アップリンク吉祥寺にて『夜を走る』舞台挨拶付き回。

 

成河さんと玲央さんに会えた幸せな1日だったんだけど、両作品に何となく繋がるものがあった気がして不思議な後味が残っている。

どちらも結構なエキセントリックさと、"今の立ち位置"に揺さぶりをかけてくる感じ…留まること/出て行くこと、みたいな。

ダブルパンチを喰らった感。

 

秋本のあのダンス、新しい世界、新しく生まれ変わった生命!誕生!って思った。その後のシーンでパートナーたちに指導してるのがあのダンスの内容だったもんね。新しい教祖になった、それこそ「おめでとう!」の瞬間だったんじゃないかなあのダンスは。

たぶんみちまち効果(感性が耕されたって感じかしら)で、秋本のダンスを「受け入れます」という気分になれちゃった気がする。

こう考えてみると、映像より舞台の方がエキセントリックなものをだいぶ受容しやすいかもね。逆に言えば映画だとより奇怪に見える。

 

そう…床に大の字で寝てる秋本とある者は重なるし、退院ですおめでとうって言われるのと拍手でいってらっしゃい!と言われるのも重なるし、あの病院とニューライフデザイン研究所は重なるよなー。

 

足立さんと玲央さんが「好きなシーン」として妻が谷口を警察へ迎えに行った車内でのシーンを挙げてたけど、確かにあの時の妻の「私があんたを裏切ったことある?」とかシラッと言うの衝撃だし、灯りがなくなって暗くなったとこで「大切なのは家族を守ること」って話になるのゾッとした。

どこにも行けない、行かない、二人。

ラストのサービスエリアのシーンなるほど確かに映像のサイズも質も違って、スマホ越しにあの家族を覗いて見てるようだった。

 

"みちまち&よるはし"コンボ、予想外に面白いことになったな!

 

ジャンル・クロスⅡ『導かれるように間違う』

初日㊗️ 大好きな、さい芸小ホール。

 

わーっ!すげーぃおっもしろかったっっ!!

めっちゃ動く成河さんをずっと見てられるとかソンちゃん亀ちゃんが尊いとか実際それも美味しいんだけどそれだけじゃなかったわ。

身につまされてゾゾゾとするし怖いし、でも寄り添ってくれた気がして😭

 

フワーッと出てきてあら?成河さんまた前説?かと思ったら違った。海辺の景色の描写を始めてた。

あの灰色の絵は今度行ったら開場中に波の音を聞きつつよく見ておこう。

 

記憶を無くしてる、真似っこ成河ちゃん。

次々と、関わった人に影響されちゃう。

うわー💦めっちゃ風刺的にも見えるし子どもみたいに可愛らしくも見える。

クマちゃんに乗っ取られる?みたいな時にはパラ定の『vitalsigns』を思い出したよね。

 

脚がしっくりこない今日子さん。

後ろ向きの仮面の人。

ずっと動いてないと死んじゃう人。

医者でもあり患者でもある亀ちゃん。

嘘しか言えない人。でも身体は正なんだよな。気づけば彼女の台詞をいっしょけんめい脳内変換しながら観てたという体験は面白かったな。

この人たちを見ているうちにだんだん、誰が病気?正常とは何?ってなってくる🌀

 

成河さん、自分はここ以外全部なんだ、って

だから皆さんをハグしますよ!そしたら皆さんは?ハグし返してくれますよね?なんて観客に向かって言われて思わず🥹ってなってたら後ろから亀ちゃんにハグされて羽交締めにされてプスッと注射うたれちゃった。

 

額縁の中での「あなたのファンです!あなたが正義!」みたいな台詞にはヒュッ😨となった。身に覚えがないとは言い切れないので…。

 

あの男はテロリストだったのか?そんな言及もあったし、作品として「今、我々の社会マジやばくね?」と言ってるし、まさに今日だから殊更に現実と肉迫して感じる部分もあったよ。

 

アンインストールするための病院?

退院して行く所は矯正?更生?のための施設

 

"空気"の具現化?のようなあの後ろ姿の絵は近藤さんぽかったな?w

演出家は劇世界から見ると""だよね。


 私たちはどこにも行けなーい(反語)

どこにだって行けるんだ😭

 

間違うぞー!って亀ちゃんは最後まで警告してたけど、いや、間違えないようにする"ってヤバいんだって。

 

あ、そっかカラダに導かれるように間違うのかな。

身体は、いつだって、嘘をついてなかった。

 

看護士今日子さんの「覚悟キリッ!」って(成河さんも真似してたけど)カッコよかったなぁ。カッコいい!って思っちゃうよなぁ。

あ、そう言えばね、患者の今日子さんに対して成河さんがすごい素直に「ごめんなさい」って謝るとこ、なんかいいなーと思ったんだ。

 

身につまされるゾゾゾとかグッサグッサがこんなにもなんて予想してなかったよ。なんか泣きそう。成河さんがメルマガで「僕も一緒です」って言ってくれてなかったら、もしかしたらもっと"糾弾されてる"みたいな気持ちになってしまったかも。お気遣いありがたい。

 

ダンスとかマイムとか実はちょっと苦手で、今回ももっと「わけわかんねぇー」って頭抱えたり「おおぅ…」って戸惑ったりするんじゃないかと思ってたんだけど、全然そんなんじゃなかった!

すごくドキドキワクワクって言うか、心臓バクバクしながら観てたな。怖いドキドキだった。確かに、怖かった。

あまりにも""だったからな。この現代を生きている私が日々感じていること考えていることとすごくフィットして、怖かったけど、あゝ寄り添ってくれてる!って思えた。

かなり尖ったことやってるんだけど暴力的ではなかった。糾弾されてるとか啓蒙されてるみたいな気はしない、不快な押し付けがましさを感じないのは、作り手への信頼感ゆえかな。同じように悩みながら生きてるんだなって思える。

 

あゝ早くまたあのカラダたちを見たいし、コトバたちを聴きたい。

 

いやぁマジ面白かった。え?もしかして今年いちばんかも。

 

当パンの、松井周さんと稲葉俊郎さんの文章がまたグイグイくるわー。

「安易な希望も開き直った絶望も結局は同じ焦りの表現に過ぎないのでは?という認識から逃れられません」って共感!

「あ、カラダを通すとコトバって面白いんだな」だって。そして「かなりカラダにケンカを売るような」コトバが出来上がって、それに近藤さんと役者たちが挑んだんだ。凄いよ、なんかそれちゃんと感じられるもん。

ルール、壁(白い壁立ちはだかってたよねー)。そうか「眠り」ってそういうものから自由な、無垢な「いのち」「魂」である状態なんだな。

生き物と情報の間がウィルスってのも面白いよなー。

 

わぁみんな名前があるんだ!

今日子さんは阿部。

後ろ向きの人は別府。あぁ「自分の背中が正面だと思い込んでいる」のね。

動くのを止められない人は島本。

嘘しか言えない土井さん。荒木知佳さんってダンサーなんだ。台詞もすごく良かったな。

亀ちゃんは江口。

成河さんだけ「ある者」で、名前がない😨

 

わぁ「現代思想入門」で読んだことといっぱい繋がってくる。

自己とは何だ?とか、名付けることとか。

脱構築、他者性、身体の偶然性!!

あの額縁は"物語(ナラティブ)の中"か?

 

TipTap 『フリーダ・カーロ -折れた支柱-』

面白かった!てかまずもうフリーダの人生が壮絶で、それを彼女の絵画・魂揺さぶる音楽・魅力的すぎる役者たちで観せられたら目も耳も釘付け。演出・美術・照明とても素敵だった。スイカの絵欲しくて探してる。シアターウエストの壁もマッチしてた!

 

禅さんやっぱうめぇ。

ゆみこさんフリーダにしか見えない。

キーヨさんも似合いすぎ。

最後のスイカの絵バーン!Viva la vida!って震えたわ。

2時間すごく濃厚で、途中拍手1回もナシなのとても良かった。

 

うわー開場時からベッドに寝てるのあれホントにゆみこさんだったんだ!って驚き。

 

流産した時の曲の、激しく壊れたようなピアノ凄まじかったな。

 

激痛に耐え注射を射ち続けるのがまるで何事もない日常であるみたいな音楽が怖かった。

 

無かったことになりたくない痛切な思いで絵筆をとるんだけど、描いてる時は穏やかな曲なのよね。

 

死者たち、か。死者たちがあそこに降りてきて語ってたのか。

あぁ、死者の日にみんながフリーダのことを語っていくのか。実はその語り手たちもみんな死者だったよねって感じ?

ガイコツ人形が印象的だったね。

あ、スイカってメキシコでは死者へのお供えなの?

「書いてやったわ」っていいよなー。

 

おぉ!イサムノグチかっこいいなと思ってたら遠山裕介さんだった。看護士はいいめぐさん妹はビビちゃんだったか。博士?の鎌田さんはレミゼの司教様でもデスノや生きるでも観てたわ。本当に豪華キャスト!

 

 

テアトル・ノウ 『道成寺』

国立能楽堂にて。すごいよ満席だ。

 

まずは舞囃子『絵馬』

お?なんか斜め向いて始まったぞ?

観世銕之丞さん素晴らしいお声だ!オペラ歌手みたい。

なんかすごいトランス入ったような盛り上がり方してたけど何してたんだ?太鼓とかすごかった。あ、アマテラスとか言ってた?あぁやっぱアメノウズメの踊りだ。みんな踊ってたけど。

能 絵馬 見どころ聞きどころ❶ 三つの舞と囃子 : 能楽夜ばなし

神様たちが超高速で捌けていってるっておもしろー!

 

続いて狂言『鐘の音』おもしろかった〜!

萬斎さん😍

"金の値""鐘の音"を間違えちゃったのねw

鐘の音を萬斎さんの声でするのサイコーじゃん!ごぉぉぉぉーんとかめちゃくちゃ良い響きで!割れてるから撞くなって書いてあるのに鳴らしたらジャカジャカ円覚寺の鐘の音は浅い(薄い?)ってディスってた?いちばんいいのは建長寺だったね。割れてたのは極楽寺だったかな。最初に行った普通のとこは寿福寺だったかな。

あ、鐘を撞くって手偏にわらべなんだな。

狂言「鐘(かね)の音(ね)」 | にほんごであそぼ | NHK for School

 

短い一調『女郎花』の後に休憩を挟んで、

いよいよ『道成寺

休憩終わってあれ?鐘は?と思ったら仕込みから開演時間内なんだ!

4人で背伸びしながら頭上に竹竿を持ち上げて担いできてセット。竹の棒を使って天井の金具に紐を引っ掛ける。

後から出てきた鐘後見さんたちが柱の金具に紐をセット。

最後もこの逆の手順で片付けて引っ込む。

鐘が主役みたいよね!

 

噂の乱拍子って、すごく激しい感じなのかと思ってたら全然違って、

なんて凄まじい緊迫感!

なんて粘着質な執着よ。

シテと小鼓が気を合わせるのすげぇ。

小鼓と大鼓が気を合わせるのも凄い。

長い無音の時間に、客席に気が流れてるのが見えるようにも感じた。

 

あゝそう言えば乱拍子に入る直前、鐘をジトーッと見上げてたな…脇からだから横顔が見えた。

 

鐘は、なんかいろいろ吸い込んでそうな溜め込んでそうな、そんな感じする。

方広寺の事件とかもあるし、呪詛のイメージもあるわ。

 

萬斎さん道成寺では白拍子を寺に入れちゃう能力(のうりき)

鐘が落ちた途端、萬斎さんともう1人の狂言師が演じる能力たちは床をコロンコロン転げ回って、そこから面白おかしいやり取りが始まる。ついさっきまでの物凄い緊迫感が一気に変わる。お前が言ってくれよーとか揉めてて、萬斎さん結局僧たちの前に突き出されちゃうのw

 

鐘から出てきた白拍子は般若のお面に変わってて、そうか蛇体になったんだな、柱に巻きついてたねー。僧たち3人掛かりで数珠を揉んで念仏を唱えて、なんか彼女の想いに心を寄せることなんて全くしない悪霊退散!て感じでちょっと可哀想な気がしちゃったな。

 

えっ!?道成寺110分も観てたのビックリ😳

 

感想ツイ漁ってたらなんかこれ相当凄い公演だったみたいで。パンドラの鐘に導かれた形でたまたま見つけて佳いもの観れてラッキーだったなぁ💓またどこかで道成寺が上演されることがあったら観に行きたいし、味方玄さんもフォローしてみたい。歌舞伎の娘道成寺もちゃんと観れる機会があるといいな。