J’aime le théâtre♡

観劇日記。

『ミス・サイゴン』

初見です!こんな話だったんだ!

 

そうかキムはあのクリスから預かった拳銃で…。でも正直あれは正解だと思ってしまった。『ブラッド・ブラザーズ』の母親よりもよほど賢明だなーと思っちゃったんだよね。

エンジニア膝を折って打ちひしがれてた。良い人だよ。何だかんだキムにもタムにも情を覚えてる感じしたし。

 

いちばん哀しくて泣けてしまった曲は「アメリカン・ドリーム」だった。あんなに夢見てはしゃいでる姿がやるせなくってねぇ。

伊礼エンジニア3年越し?の初日おめでとうございます!「好きで混血やってるんじゃない」の台詞が沁みたわ。

 

はぁーラストのタムのセーターの柄がもしやと思ったらやっぱりミッキーマウスでさぁくぅぅぅぅーとなるよ😞

2幕初めの「ブイ・ドイ」アメリカ人たちの威風堂々としたタテマエソングもキッツイ。「ゴミクズ」!?「みんな我が子だ」とかも言ってたよね😨

 

こないだテレビで視たBWの歴史も思い出しちゃう。この作品はロンドン発でしょ?

89WE初演、91年からBWだって。85レミゼに続く、シェーンベルク&ブーブリルによる2作目のヒット作。

白人による白人のための作品だという批判はまぁあるわな。いかにもなオリエンタリズム

社会主義の描き方にも時代を感じる。

そしてこれはアメリカで作られた作品ではないけれど、ずいぶんヒットしたということはアメリカ人たちはこれを "アメリカの今を描いている" と受け取ったのかな。

初演当時のBWではキャスティングを巡っていろいろあったみたいだね(エンジニアの設定はここで混血のポン引きになったらしい)。近年の動向の先駆けとなったのかもしれない。

 

シェーンベルクはふと見た雑誌に掲載されていた写真ベトナム人の母が子どもにより良い生活をさせようとタンソンニャット空軍基地から元GIの父親の待つアメリカへ送り出そうとしているから着想を得たとwikiに書いてあった。彼はこの母親の行動を「尊い犠牲」と考え、作品の中心テーマとすることに決めた、と。

まさにこれは欧米至上の見方であり批判の対象になる点だと思うけど、私もBBの母親よりキムに共感するということは、似た捉え方なんだよな。しかしもちろん一方で、『パンドラの鐘タマキの「待ってるなんてバカ!死ぬなんてもっとバカよ〜」も頭の中に聴こえてくるけど。

 

トゥイもすごく深みのある登場人物。大貴くんとても真実味があって良かった!亡霊になって現れた時の佇まいも良かったよなー。マタハリのピエールの時に「七五三みたいw」と光夫さんに揶揄われていた軍服姿、そういうあんまりシュッとしてないとこもトゥイにはマッチしてる。

決して只の憎い敵役ではない、キムとの間には互いに幼馴染みの情もあるし、トゥイは親の言いつけや自国の伝統的な価値を大切にしたいちゃんとした人で、彼の正義の中で懸命に行動していて、だから解放戦線("ベトコン"は南側からの蔑称なのね)に加わって実績も挙げ(それによって"正義"はより強固になり)アメリ=クリスを憎むのも分かるし、キムへの執着はいろんなものに起因していてすごく複雑で(その中に彼女への一途な想いも間違いなくある)。そういうことがちゃんと感じられた。

そんなトゥイを、我が子を守るためとは言え撃ち殺してしまってキムは罪の意識を背負うことになり、それは彼女が最後に死を選ぶ理由の一つとなったに違いないよね。

あ、でも、そっか、ベトコンに加わるということはキムから見れば親を殺した敵方への寝返りだったのか。複雑だね

 

やっぱ海宝くん昆ちゃん大貴くんの並びは嬉しかったなー。

えっ?海宝クリスも初役だったの!?全然知らなかったよw昆キムともお似合いだし大貴トゥイと睨み合うのもアツいし、この3人で観れてホントに良かった。他の組合せだときっとまた違った見え方になりそう。

 

伊礼エンジニアはとても腑に落ちたし、理生ジョンと知念エレンは"アメリカ男性""アメリカ女性"(アジア的なものと対比して描かれた)の体現としてすごく"正解"な感じする。

エンジニアが市村さんとか駒田さんみたいな年齢って既に私の中で納得いかないもんな。元々の設定はベトナム人のクラブオーナーだったのかな?それだと市村さんとかに合うけどね。

伊昆海西は今回少なくとも帝劇では1回限りなんだわ😳 我ながら良い回を観たと思う。マイオリジナルキャストになるよ!

 

ほぉ、この公演、スウィングやインティマシーコーディネーターを導入するなどなかなか進歩的。そうね、キスとか身体接触めちゃ多いなーと思ったもんね。