星陵アーツ&レクチャーシリーズ♯10
講演「歌舞伎をつくる~伝統から未来へ~」
戸部さん・鷹之資くんの少年時代とか若者へ向けての進路選択とかに関する話も興味深かったけど、やっぱりルパン歌舞伎について聴けたのが嬉しかった♪
戸部さんがナガスネヒコに触れてくれてテンション上がった。日本の伝統芸能である限りは鎮魂という意識を持っていると話してくれて。
半年で急にやることになって、ただタイトルだけの仮チラシなんて通常なら半年前にそれはあり得ないし、台本も途中な段階でのビジュアル撮影もてんやわんやだったエピソードとしてスタッフさんの間で「宇宙人」というワードが一人歩きしちゃってた話w
稽古は8日間!でも戸部さん曰く意外と順調で18:00とかには帰れてたと(隣で苦笑してる大ちゃんw)
芝居も拵え(富美衛門の衣装は時今也桔梗旗揚の光秀の感じだとか)も何もかも、現場全体が強固な共通言語を持っているからこそそんな短期間で新作を作り幕を開けることができるんだよね。でも、可能だからってそれが常態化することは決して良くない、物申したいとは思ってるみたい。時間があればもっと出来る事があるって、そりゃそうだ。
鷹之資くんは「幕を切れる」役者だって戸部さんが言ってたけどなるほどそういう概念があるんだな。後で"脚本と台本"の話をした時、役者や上演のことを考慮した上でのものが台本だと言ってたけど、誰で幕を切るかとかもその考慮の中の一つみたい。
滝を片付ける関係であそこは一度幕切れ&休憩にせねばならず、そのために富美衛門を死なせることにして、さてどうやってそう持って行くかと考えたってw 幕切れのやり方は死なないパターンも含めて何パターンもやってみたらしいよ(衣装を濡らすのはNGだったとw)。ホントすいませんでしたって戸部さんw
『四千両』のシーンについて、知ってる人がいなくて(澤瀉屋さんの床山さんも誰も知らなくて、と確か言ってた)でも50年前に寿猿さんは出てたから教えてもらえたとか、松也さんは菊五郎劇団だから知ってて(データベース調べたら2012年に出演してる)とか、こういう新作は家々が交わる機会になるんだね。自分とこの家だけでは出会わなかったものに触れ、歌舞伎界という知と技術の宝庫がそうやって補強されていくんだ。
ルパンは"観客みんなが知ってるもの"として劇中で説明を一切しない、江戸時代の歌舞伎と同じようにそういう作り方が通用するか、今回はそれをやってみたんだって。ほぉ。
戸部さん、今回の経験から、歌舞伎は音楽劇だなという認識を強くしたって。
各曲ずいぶんたくさんのテイクを録ったらしい…CDとか出してくれてもいいんですよ😁
戸部さんも鷹之資くんも「歌舞伎をもっと勉強したくなった」と言ってた。
戸部さんは特に音楽の部分についてそう思ってるようだった。
鷹之資くんだけでなく新作をやった若手はやっぱり自分の中に古典をしっかり入れていく必要性を痛感するんだな。
歌舞伎役者は50・60はまだまだ、70代でいちばん脂が乗る…なんてつくづく凄い世界。
司会の竹平さん(ご自身も歌舞伎ファン)が言ってた、古典のオマージュ部分から本作に興味が沸くってホントそうで、まさに今月の籠釣瓶それでチケット取ったもんねー。
歌舞伎かっけぇ!ってなる新作をまた期待するけど、鷹之資くんが再三言ってたように古典が身についていてこそというのは絶対そうだと思うので、古典が掛かることが減って若手がなかなか機会を得られないという事態は避けて欲しい。頼みますよ松竹さん。