J’aime le théâtre♡

観劇日記。

『MUDLARKS』千穐楽

https://twitter.com/reo_tamaoki/status/1578925326104944642?s=46&t=D0thXBtzo5o7VK7uPFzTcA

うゎーん🥹これはしんみりしちゃう…

 

ジェイク「手紙が来たんだ」って小声で何度も何度も、その先を話しそびれてた。

進学してここを離れることになんでそこまで躊躇するの罪悪感を感じるの冒頭一緒にはしゃいでるようでふと2人に背中向けてゾッとするようなつまんない顔してたじゃん…

「お前がチャーリーを刺したって言ってもいい?」なんてなんでわざわざ聴くの!

分別ありそうに見えて、"振り切る" ことができない、呆れるほど弱い。甘え。挙句の果てにどうしたらいいか分からなくなって水(「泥に埋まったすべてを覆い隠す」みたいなこと言ってたな)に身を投げちゃう。何者かになりたいと言ってたけど、その覚悟がいちばん無いのがジェイクじゃん。空想のボートからウェインを蹴落としてひとりで前進していく勇気もなくてウジウジして。馬鹿だよ。ママにとっての「誇らしい息子」であることさえ失ってしまったと思っちゃったのも身を投げた要因だった。「一緒に行こう」とウェインが伸ばした手も拒絶して、どこにも居場所が無くなって。

取り残されたウェインの、えっ?ていう顔

でも、うん、確かにね、17歳のジェイクのもっと先の先、カレッジに合格したことがゴールでは勿論ない、学費だいじょぶなのかとかロンドンに彼の居場所はあるんだろうかとかこの性格だとビジネスは向いてないよねとか 所詮 "輝かしい未来なんて幻想ですよねとも思える(少年に"無限の可能性"みたいなものを見るのは大人の勝手だという気もする)…ジェイクはそこまで見通した訳ではないとは思うけど、ここで命を絶ったことがむしろ正解のように思えてしまうことも否定できない…悲しいけど…😔

ヴィッキーさんはエセックス出身で、この立場だった筈だよね。いろんな思いをジェイクに乗っけてるだろうね。

 

ウェイン実はいちばん気が回るし賢いかも。クレアの名前を出した時の感じには初見から鋭さを感じていたけど。

チャーリーと2人の時、ジェイクと2人の時の雰囲気が全然違う。無意識に身についた(身につけざるを得なかった)処世術。間に立った時の必死さ哀しさ。

うん、彼は強く生き抜いて、世の中のすべてを茶化してやる道化になればいい😔

ウェインねグラフィティアーティストみたいな夢を抱くことはできなかったのかなと思ったけど、アート自体に心惹かれていたと言うより、アーティストどうしがリスペクトし合う姿が素敵だと思ってたんだねきっと。

 

チャーリーは「失望っていちばん酷い」みたいなこと言ってて、俺たちはどこへも行けずにここでこんな人生を送っていくんだってクソだと思いながらちゃんと分かってて、その閉塞から逃れようとして自分が暴力=人を傷つけることに流れている現実も分かってて苦しくて、でも潰れずに突っ走ってやる強さは持っていた。

 

最初、チャーリーとウェインが駆け込んできて息を切らしながら「やってやった!」とか言ってるとこはまさに『スリル・ミー』の 「超人たち」なので震える。

チャーリーはまんまスリミ彼で、ジェイクはスリミ私のように手を貸しはしなかったけど私より積極的に同調するウェインがいてしまった😔

 

「人を傷つけるようなことはしない」って、たぶん小さい悪ガキだった頃から3人で言い合ってたんだろうな。

チャーリーの中にもそれはあって、だからクレアを「傷つけてしまった」ことにあれだけ怯えていて。でもコンクリ塊を落とす悪戯が「誰かを傷つける」ことになる想像は全然できてなくて。

てか「誰か」の痛みを想像できない。盗んだ車の持ち主の名前を知るだけで「やめて急に現実的になる」と言う彼ら、トラックの運転手は「誰でもない」と思ったけど、誰かの父親であるとか彼の人生とか肉体とか想像させられてしまったら途端に苦しい。

笑っていられなくなるから、苦しくなってしまうから、想像しない。遮断する。

 

で、こうして考えてると嗚呼わたしも同じなんだよなと思えてくる苦しさ。

世界中の人たちのことをいちいち自分事に引き寄せて感じるのなんてツラくてそんなことしてたら身が持たないから適当に遮断して我々は生きているのだけど、時々その結界ををぶち破ってきて私を脅かすよね演劇は。

この苦しさを劇場のみんなで分かち合うとか言うと聴こえはいいけどただ傷を舐め合ってんじゃん!私だって世の中だって変わりゃしないのに!って苦々しい。

あゝますますジェイクの選択が正解に思えてきてしまう。クソみたいなこの世に加担することをやめるために。

 

1人ずつのカテコご挨拶で、劇の余韻から抜けられない客席の空気を感じた敬三さんが「なんかすいませんこんな時に」と言ってくれたのが何だか嬉しかったよ。