J’aime le théâtre♡

観劇日記。

『MUDLARKS』2回目

10/1昼。2回目は初日とだいぶ異なる感じ方になった。

冒頭、泥の中から出てきてはしゃぎ回るあの子たちをうっかり微笑ましく見てしまったので、その後最後までもうキツくてしんどくてどうしようもなかった。はしゃぎながら互いにロープを握って繋がり合っているのも象徴的に思えた。

あの子たちの事情や後の展開を1度観て知っているから、初見時には分からなかった台詞や表情の理由が思い当たってしまっていちいち胸にくる。ウェインが脈略なく洗濯機の話をするのとか、チャーリーは警察に怯えてるんじゃないんだよねとか。

そう、冒頭シーンは終盤の金属探知機のくだりにリンクして、あの子たち自身が泥の中に埋まってる宝みたいに思えたんだ。見つけ出して欲しいんだよジェイクは。

 

やったことないことやって、どうなるか見たかっただけ、という浅はかさ。

先のことや細部を想像しない。想像したら、見たら、吐きたくもなる。

免許証の名前を聞いて、リアルになるからやめてと言うウェイン。

刹那の「笑い」がすべて。

「人を傷つけるようなことはしたくない」という信条めいたものは持ってるのに。

「笑い」ですべてを流している。

 

「一人前の男」という呪縛。

どんな父親でも父親が規範(ジェイクはアンチ父親かもしれないね)だし、"どうなりたいか" という将来像のイメージが下の毛ボーボーでしかないんだよまぁここにも、不安を伴う真面目な思考を嫌って無意識に笑いにしようとするウェインの性質が出てるけど。

 

鋭敏で繊細なジェイクとチャーリー。

愚鈍なウェイン。

 

嗚呼ウェインがメールなんかしなければジェイクは巻き込まれなかったのに。ジェイクは違う世界の奴なんだってチャーリーには分かってたからもう関わるつもりなかったのに。

 

スリルミーもジェイミー(特にディーン)もビリーエリオットも思い起こされてきたよ。

これらの作品には、大人の登場人物が出てこないもの/出てくるものという違いがありますね。

うん、今回はなんかすごく「あの子たち」という目線で観たんだなぁ私。

 

ウェイン(のお父さん)はなんでリヴァプールファンなのかな。地方都市だけどリヴァプールにはプレミアのビッグクラブもあるしビートルズで有名だったりもするから"忘れられて"いないよね。エセックスの彼らは地元愛を誇ることもできない。

あ、原文戯曲だとチャーリーはウェストハムのユニフォームを着てるのね(ザ・地元?いや"地元にいちばん近いプレミアのチーム"かな。造船会社の社員クラブを発端とするチームで今もサポーターの殆どが労働者階級だとWikiに書いてあった)。あ!穂先チャーリーのえんじ&水色のシャツはウェストハムのユニなんだ!

 

はぁ戯曲ひととおりザッと読んだけどやっぱツラいねぇ。

ウェインのキャラというか、頭悪い言動をどう体現するかという点で敬三さんパーフェクトだと思ったわ。とても難しいと思う。敬三さんというクレバーな俳優が演じているからこそ観客に伝わってくるものがあるんじゃないかな。

 

そうねぇ今ウェインのことがだいぶ気になっちゃってるなー。

あのビーチに時々来て考え事をするって言ってたよね。無邪気に遊んだ子ども時代の思い出の場所。隠れんぼで置き去りにされたりもしたけどさ。チャーリーとジェイクにはいつも遅れをとってて悲しいんだけど。でも2人のこと好き。

生きるための防衛本能で「笑い」を求めちゃう。いつもみんな笑って過ごせたらいいのにってきっと思ってる、根は優しくて穏やかな子なんだよな。

あの緩さ素直さが好きで、チャーリーもジェイクも彼を側に置くんだろう。放っとけないという気持ちもあると思う。「パパが洗濯してくれなくなっちゃったの?」とかってジェイクはすごい察してあげてたよね。

 

あ、そう言えば音楽のこと。

エレキギターのギュイーンていう感じが印象に残って、なんか『夜を走る』と似てるなぁと思ったんだ。

あと、開場中の曲のセトリ欲しいなぁ。