J’aime le théâtre♡

観劇日記。

奥川恒治の会『大原御幸』

観世能楽堂にて。

へぇーこんなとこに!銀座の真ん中の異空間っぷりにワクワク。まるで別の時空。特に演能中は時間の流れ方が外界とあまりに違って目眩。仕舞3(「忠度」「佛原」「船弁慶」すべて平家物語からなのね)狂言(「茶壺」皆さんお茶目で笑えたし二人の歌がカノン?みたいで面白かった)を観ながらなんとなく空気が出来ていって、休憩後から一気に世界が立ち上がる感じ。


出たぁ!能独特の作り物。デカいテントに二人と思ったら三人入ってた!カーテンが取れた瞬間、尼の被り物に能面が並んでて、なんかすごい迫力を感じてハッとしたね。清廉と言うか、明るいけど鋭い。それまで出てきてた人たちは面を着けてなかったからね。

建礼門院はシュッとした美しさ、阿波ノ内侍は悲しげな年増、大納言ノ局は若くポッチャリして瑞々しい。これ顔からの印象だよ!お面なのに!

後白河法皇の傘?輿?も独特。柄の部分折り畳み式やないかーいw

皆さんのお着物の色が綺麗。建礼門院は途中で引っ込んだ時に着替えた(濃紫の法衣?を着けたのかな?)けど、最初に着てた薄緑地に白とかの小花?模様の着物と阿波内侍の薄紫色の着物との色合いが好きだった。大納言局は濃いめの緑色でね。院の着物は鮮やかなオレンジ。

女性たちの面、生きた血が通っている顔に見えたし表情や目線が動いてるように見えた!凄い!

なんでそんなふうに見えるの!?観てる私の見方なんだと思うけど、これって「観客が見たいものを見る」の最たるものなのでは?

音楽と、彼女たちの目線・表情を見ていたら、寂光院の風景がふぁーっと広がって見えたよな


あの話をさ、建礼門院に語らせるの酷でしょ😢すべて目を見開いて見てたんですか!?と思うと堪らないよ。

でも、語ることは鎮魂なのかしら?

後白河院は何を思って寂光院を訪ねて来たんだろう?平家とはいろいろあったし、結局覇権は源氏に握られてしまって院政はできなかったし、いろんな思いを抱えてるだろうけど。建礼門院と何かを分かち合いたかったのかな。彼女にとっては迷惑な客だったんじゃないかな?後白河院の印象は良くなかったと思うよ。平家追討の院宣!?後白河め!っていう時とかあったじゃん。

「波の下にも」はやっぱクライマックスだった。音楽的にも。

ラスト、法皇を見送る建礼門院の、竹?をグッと掴んだ手が忘れられない。


ググーっと密度濃くここに立ち現れた世界が、終演後、演者の皆さんがゆっくりと退場していくにつれ、静かに徐々にほぐれていくのよ。その感じがまた独特。


子午線から始まった平家物語の旅、ひとまず灌頂巻で締めくくることができたのは幸い。

しかし建礼門院にこれを語られたインパクトは凄かった。ある意味「天の視点」なんてぶっ飛ばしちゃう「当事者」の語り。強い。