初日以来反芻してて、あぁ予定調和とかクソくらえっていう気概でやってるんだなぁきっと…と思い至ったところでの2回目。佳き観劇納めになったわ。
小栗くん冒頭、水たまりに転んだ子どもに手を差し伸べるでもなく写メなんかしちゃって酷いね。あれSNSにあげたりすんの?すぐ横に女性のマネキンが落ちてくるけど気づきもしない様子。
現代人の象徴みたいなこの青年が、権力者の近くに身を置く経験によって変わっていく。
♪月の祭り
わぁグッときちゃった。
戦いたくないジョン王…
そうだよね『冬のライオン』の浅利くんのジョンが大きくなった今なんだと思えてすごく苦しくなる。光夫さんのあんな見た目だけど、決して猛々しい人ではないのだ。卑屈さ、憂い、どうにもならなさ。
あと、あの犬みたいにジョン!って呼んでた敬三さんジェフリーの妻なんだから、コンスタンスだってジョン王に対してはちょっと見下すような気持ちがあったに違いないよなーとも思ったり。
なんか、歌ハマってきた。歌詞もだいぶ入ってきてグッと沁みたわ。
バンドの劇伴もいいね!戦闘シーンの太鼓などは、なんかいかにも"芝居っぽい"感じがするのがいい。
ブランシュちゃん絶好調♡
使者とか王冠を持って来るだけの人wとか純米さんの別役見つけたよ。声があまりにも違うすごいなー。
今日のアーサー佐藤凌くんとても表情豊かで芝居が細やか。
小さな木の実バックの戦争は泣けるわー。
玲央さんもさらに"母"の美しさと醜さをひっくるめたコンスタンスになってる。
私の悲しみは大地にしか受け止められない、この大地が私の玉座…みたいな台詞が胸に残ってる。
金髪の子どものマネキンが落ちてきて抱きしめる…
停戦を巡って私生児はコンスタンスに共感していた。
妥協せず筋が通ってるのはそっちだもんね。
王たちは情勢を見て約束を反故にしたり誓いを破ったり政策を変えたりするからな。
なんで!?って言えるだけの芯を持つことを私生児は良しとしていた。
アンジェでは諸侯の振舞いや発言を一所懸命見て聴いて学ぼうとしてる感じだった。ブランシュちゃんに「旗もってきて!」とか顎で使われ「この役立たず!」なんて(オフマイクの小声でw)言われたりもしながら。
そのうちに、あれ?なんで全力で戦わないの?は?何その妥協!?って、私利私欲が世界を回していることに気づいて。
貧乏人のうちは声高に要求し、力を持ったら私利私欲に従ってやる!…なんて明け透けな独白だろう。
王が情けないから自身で何かを請け負って、突き進んでいた。オーストリア侯を殺して奪った獅子心王の毛皮は自らを鼓舞するためのアイテム。獅子心王の落胤である(らしい)というのがたった一つの拠り所だもんね。
チラシビジュアルのイメージで、私生児って小賢しく小狡く立ち回る人なのかと思ってたけど全然違う。ほんと、クソ上司の下で何とか自分を見失うまいと踏ん張ってる青年だ。
でも最後にはアホらしくなって出て行っちゃったんだな。それでいいよ。通そうとしている"自分の筋"だって所詮はこんな狂った世界の中での価値で計っている判断に過ぎないのだと気づいたんだよね。
「男らしさ」と歌ってたもんね。
♪朝日は登るよ
少しずつだけどね
ラストは、この国に誇りを持つ限り…みたいなこと言ってた、その台詞でたぶんカッコよく戯曲は終わるんだけど、何だそれ?おかしいよな…っていう思いがあのカテコ。
♪悩み多きものよ
時代は変わっている
何もかも
そういう若者たちへの応援歌かな。
枢機卿悪いよな…ロクでもねぇ。
天魔王をちょっと思い出しちゃうデカい月、2幕前半は小さな複数の月になってた。惑星かな。
そうそう、占いの婆さん鎌倉殿の大竹しのぶさん風味w
♪自由への長ーい道
イングランド諸侯はやっぱり"日本人"と重なって見えちゃう。
人が集い、優しく生きる
そんな星になるまで…
みたいなこと言ってた…ジョン王が死際に柔らかい笑顔で歌う月の祭り😭
途中から気づいたけど…扉に菊の御紋!?
確か最初はイングランドのライオンの紋章が描かれてたよね?うゎ…靖国神社の門を思い出してしまった…
マネキンたちがまったく無視されてるのエグいなーとつくづく思った。
時には軽く踏みつけたり、ブランシュちゃんなんか煙草の灰を落としてた。
ソールズベリーたちが、すぐ傍に男性のマネキンがドサっと落っこちてきたのに気にも留めず王子の遺体に駆け寄るのもエグい。
あぁ…『ヘンリー五世』の時の違和感、シェイクスピア史劇を初めて観るからって何故か戯曲ではなくその時代の歴史を予習していったからこそのものでもあったんだ。歴史を読んでたらとにかくもうドロドロで、こんなふうにキラッキラな感じで切り取るのってどうなんだろ?と思ってしまったんだよな。みんな結構ひでぇことやってるしその発言はどうかと思うよみたいな台詞もいっぱいあるじゃん?それこそ歌舞伎でもあるような、現代の我々の感覚で見ると…ってやつ。
今回の演出は、まさにそこんとこを掬い取ってくれたと言えないだろうか。
歌のフレーズが記憶に残ったから検索できた
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小さな木の実はペギー葉山さんが歌ってたんだね。
わぁ…2021.5スリミの時のメモにこんなこと書いててヒャッてなってる。
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ちょっとちょっと!カントの言う道徳法則…「定言命法」と、「仮言命法」って!
仮言命法に基づく行為は、本当の意味での「自由」に繋がらない。
クラクラするわマジで。
私と彼の契約書はまさに仮言命法以外の何物でもない。
資本主義、我々の社会は、仮言命法で約束された上にしか成り立っていないでしょ。
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「自由」を手に入れたい話じゃん今回のジョン王って。
俺とこの星との 唄がうたえるまで…
って泣ける。夜は短しの乙女じゃないけど「美しく調和のある」世界を夢見ていたんだ。調和って「建築家」が太陽や動物たちと心を通わせることができていたあの状態かもしれないな。
この上演、Imagine的だね。どぎついものを見せているようだけど、夢を描こうぜと結構ピュアに言ってるように思うわ。