2時間15分たるみの無い(絶妙な緩和はある)物語にグイグイ惹き込まれた。これだけ問題提起に満ちているのに語り口はイイ感じにドライで、ひとの情緒に土足で踏み込んで来ないのが心地良いと思った。
でも、と言うか、だからこそ、かな…深い余韻。
帰りにラーメン食べた。
ホントあの絶妙な緩和ね。入りが「3秒クッキング」というのもそうだし、1時間過ぎたとこ…たぶん実際に半分のとこだったと思うけど、その辺りから浜ちゃん橋本と安井さん寺泊の空気にコメディっぽさが入ってきて。「ポーの一族」を恵に説明するための資料みたいに寺泊が机の隅にそっと置いた時なんか爆笑しちゃったもんな。
寺泊、だんだん巻き込まれて参加させられてんのよね。カフェの店員役を促されてたよねw
ラスト、寺泊が冷蔵庫を開けるのか!?で終わるのかと思ったら、開けて、閉めた。
でも妻が出てきて、カバンを持ち上げようとした手に力が入らなくて、項垂れて、大丈夫よって肩を抱かれて…
いやぁどうなんだろねぇ!?どうするだろうねぇ私なら…と考えずにはいられない。
もし妻が飲血の効果を知ったら絶対に飲ませようとするしそれを寺泊も断れないだろうし…
橋本は鰻食べて終わらせるんだな。「最後の晩餐」って言う意味の重さがヤバい。
あ、でもね、あれ全部橋本のホラ話でしたっていう解釈もアリだと思うよね。寺泊が恐る恐る開けた冷蔵庫の中に入ってたのは普通にいろんな食材ばかりで、あんな話を信じてしまったことに打ちひしがれたのかもな、って。
そう言えば、終盤で現れた恵が、え?すべて話しちゃったんですか?というような空気をまったく出してなくてちょっとアレ?と思ったんだよな。
「天の敵」って、"外れてる者"ということなのか。「外の道」と同じか。
我々は確かに、食べないといけないから縛られてる。腹が減ることは人間のいちばんの弱点だって台詞が『人間合格』にあったよな。
時枝は外れてるよなぁ。不食なんて、あれはもう地球上の生命体ではない。
安井さんの、イキウメンズ特殊技能 "突拍子もない話を聞かされた時の反応の芝居" 本当に見応えある!
もちろん浜ちゃんの常人ならざる佇まいも凄い。
時枝の森下さんの異色さも凄い。「〜ね」って喋り方とか。
人衛くんも、盛さんも、味!!
客演も好きな俳優が多くて私得だった。しんぺーさんレオさんナイス違和感。祥太郎くんはとても真摯。
https://twitter.com/tomomaekawa/status/1571683684935409664?s=46&t=UjTVbnRIrFfiH3TamMuChg
温水さんも仰ってる!
ワキとシテ!ほほぉ!
https://twitter.com/maturasu/status/1572953094878797825?s=46&t=uX3U4LjhfD1DnIIiobEaZA
あぁまさにそう!そんな感じする!
ナチュラルカフェみたいな舞台美術とても美しかった。ガラス窓の感じが『外の道』っぽいと思った。
この物語の現在は2017年だと台詞で分かって、それは初演の年なのかな?私は初演を観てないけれど、ここから今までに我々の世界の様相はだいぶ変わったよな…という思いが過る。初演を観た人なら尚更だろう。
登場人物たちは、5年後の今はどうなっているだろう…もし飲血を選ばなかったのなら寺泊はもう死んじゃってるんだな…あるいは…
いろんな想像が巡る。
戦後の現代史を語るようなシーンではダンスっぽい身体表現も用いられてた。時の流れが視覚化されるみたいな。たまにふっと立ち止まって振り返るような動きが印象的だったな。
「人間は太陽だって作った」とかも言ってたね。進化や文明は後戻りできない。
そう言えば卯太郎が日光を浴びれなかったり生殖能力が無いという設定は『太陽』と同じだね。
https://twitter.com/tomomaekawa/status/1570212637363032065?s=46&t=UjTVbnRIrFfiH3TamMuChg
ほぉ。運命!自由意思!次作めちゃくちゃ楽しみだー♪
客席けっこうU25くらいの若い人が多かった。イキウメの着眼点およびトーンは、若い世代にもすごく受け入れられる感じする。