サイモン・スティーヴンス作。そう言われれば彼らしいかも。ロンドンの雑踏の片隅で起こっている話、という感じ。
不確定なこと。
近くにいると、渦中にいると、見えない。
アレックスのような年齢になって初めて見えることってあるのかなーとは思うけど。あの歳になって彼のように"確固たる自分"を持たずに居られるってなかなかない。ジジイが若い(年下の)女性に対してあんなに柔軟なことってなかなかないよな。
個性なんて行動の集合体、みたいなこと言ってたのは心地よいなーと思った。流動的なもんだよね、みたいな。
感情に支配される(押し売りされる)のも嫌いみたいだったよね、アレックスは。
ジョージィと出会ったことは、彼にとって何なんだろう。
平田満さんの柔らかさが良い。あの役がエロジジイに見えちゃったら台無しだけどそれはなかったもんね。めっちゃ音楽好きで、タンゴ踊れる。
小島聖さん綺麗だしエキセントリックさが素敵。ジョージィはかなりやべぇ女だけど。
量子力学の話って、訳わかんないけど何故だかものすごく惹かれてしまう。世界の見方・捉え方が揺さぶられる感覚が堪らない。
都築卓司著「不確定性原理:運命への挑戦」をちょこっと読み始めたけど、そっか…ある筈の真理に近づいていこうというのが科学の立場だと思いがちだけどそうじゃない考え方で考えてみようぜってことね。あゝ…それは、未来は決まっているというのを否定すること、運命に挑戦することになるんだ。なるほど。
アレックスとジョージィふたりの関係性は、揺らぎながらあのようになっていった。どうなる可能性だってあった。
測定という行為が測定対象に影響してしまうのと同じく、相手の存在は他方の存在に必ず作用する、というのも、確かに。納得できるわー。