J’aime le théâtre♡

観劇日記。

『パンドラの鐘』3回目

なんか今日、重く沁みちゃったんだよな。

空気とか狂気とか。

ミズヲとヒメ女のあどけなさも。

ふたりのシーンのピアノ曲が切なく美しかった。優しい雨音のような。花咲く丘に吹き渡る風のような。

 

どうにもこうにもあっちゃんタマキには強く惹かれてしまう。

タマキは"止められない探究心"なの?最初から目的は「悪魔の思いつき」で、オズたちを唆していたの?

帰国のシーンやっぱり大好き。騙していただけの悪い女にはどうしても見えない。日本の王の振舞いについて言及する重要な役割を担ってるあっちゃん凄いよ。

そっか、ピンカートン財団の真の目的は「悪魔の思いつき」を探し当て掘り出して解明することだったのかな。未亡人は当然その任務のために来ていた。タマキは母の補佐役だったけど、彼女の中には仕事とは別の、鐘の謎に迫っていきたいという抑えきれない探究心が生まれた。そしてヒメ女の想いに辿り着いたタマキは、鐘の秘密をアメリカに渡すことはしたくなかった筈だよ。オズを無理にでも連れて行くことをしなかったのはその判断もあったからだ。鐘の秘密はタマキが売り渡したのではなく、アメリカの優秀な人材によって解明されたんだと思う。そうなることもタマキは予測していたけど、最後の砦として日本の王の存在があると思ってた😔

 

侵略者ハンニバル。ヒメ女の国はカルタゴがモデルなんだな…丘、海賊、海軍力、軍事行動と植民で勢力を拡げようとするが大国ローマに負けやがて滅亡する。それはもちろん大戦前の日本と重なってもいる。長崎とカルタゴの風景は似ているのかもしれないね。

 

古代チームと現代チームがひとかたまりになるところの緊迫感すごい。

昨年?芸劇で上演された熊林版ではヒメ女とタマキが一人二役になっていたらしいけど、その発想もわかる気はする。

 

ミズヲって、古代から未来を覗き、あれを体験して帰ってきたの?

あゝそうか、ミズヲは、オズと同じように卓越した想像力を持った人なんだ。未来を想像する力。

オズの想像力は残念ながら過去にしか向かわなかった。自分を取り巻く現実やその未来のためにその能力を使うことはできなかった。

ミズヲは未来を見た。

ヒメ女にも未来が見えて、未来の敵の原爆開発を阻止し、未来の日本の王へ投げ掛けるための自らの振舞いを定めて、埋まったんだ。

 

声が届くかどうかっていう話にグサッときてるのかな。

「俺は届くに賭けますよ!」😭

ミズヲの遠い遠い明日である現在に立つ我々…今だに、空気を狂気と言うことを恐れ、勇気ある狂気を発揮することはできていないんじゃないか😔