J’aime le théâtre♡

観劇日記。

『手紙』2回目

この世界にたった二人だけの兄弟

良大くんとspiくんのハーモニー美しいなぁ。

この二人があんなふうになっていくなんてという悲しみが既に😢


spiくんの剛志、イカしたお兄ちゃんだよね。少年時代、不良グループに入っちゃったんだろうな。お母さんを泣かせてた。大人になってからは繋がりを持つような友達や知り合いを作ることなく過ごしてたんだな。

無垢すぎて愚かで。今や、ボロボロになったずぶ濡れの捨て犬のよう。

みんな俺のせいで苦しむ。こんな俺のせいで。でも何がいけないのか、どうしたらいいのか、少年の頃から今もずっとわからなくて教えてくれる人もいなくて。

周りが見えてない、と先輩囚人カワサキに言われてたけど、何だろうなほんとに何も学習しないまま大きくなっちゃったというか。あゝ、弟を大学にって、それができたらお母さんに赦してもらえるという思いだったかもしれないな。

なんであんなこと思い出したんだ、甘栗のことなんて覚えてなければよかったのに、って直貴は言うけど、いやいや、仮に殺人に至らなかったとして盗んだ金で進学したのだと後で知ったらどうよ?殺人は偶発的だったかもしれないけど盗みには入ってるからね、愛する弟を汚し苦しめてしまうことにはなったでしょ。一方的で迷惑な愛情。そんなことにも思い至ることができない想像力の欠如。そうだね、忠夫に手紙を送り続けたこともそうだし、最後にやっと剛志はコミュニケーションにおいて必要なことを学んで、歩き出したんだ。


良大くんの細やかな"受けの芝居"を堪能できるよねこの作品!特に1幕、台詞を発さず何か(誰か)を見てる時間が結構ある。

剛志の犯行シーンで後ろ(裁判の傍聴席だね)に居る直貴は可哀想で耐え難いよ甘栗で「え?」ってなるのとか。この時には兄への全幅の信頼と言うか、強い繋がりのある弟という姿を見せてる。

ライブのシーンは、聴きながら(ちんまり膝を揃えてるのも超かわいいけど)音楽に胸打たれ変化していくの。まるまる2曲分だから結構長時間ずっとその様子を見ちゃうよ。

社長の言葉には顔クシャクシャにしてたな。

あとそうだ、spiくんと背中合わせに立つシーンが最初の頃とラスト近くの2回あるけど、その時spiくんを感じてる良大くんの背中の感覚が伝わってきたりする。


ライブ後、階段を登って行った直貴と、その下の刑務所の日常。上と下がクッキリ。


竜兄のカワサキ、獄中で人知れずものすごい苦しんでた。なんか達観してるような人なのかと思ってたけどそんなことない。やっぱり手紙を唯一の手段として誰かとの繋がりに縋ってるんだ。ちょっと『教誨師』の組長を思い出した。箱に腹ばいでもたれかかって若者と一緒にエロ本見てる姿勢はかわゆかったな(後ろ姿のお尻)

直貴の担任教師からの手紙を読む剛志に、お前なんでそんなことすんだよ、弟はお前に居場所知られたくないんだろうって、お前だってわかってんだろ、とまるで自分のことのようにツラそうな顔で詰め寄るカワサキ。そんなわけないです兄弟だから、と真顔で答える剛志にゾッとしてしまったよ😨カワサキは苦しみながら離婚届に判も押しそれは妻を救うことになるし自分が受ける罰だということも理解して耐えてる。お前も受け容れて耐えろなんて言うことはできないけど😢塀の外には違う時間が流れ現実が在るのだということをちょいちょい諭してやってはいたけど。

それを理解してしまったらこいつ壊れてしまうだろうと、ナイーヴな剛志を心配もしてるんだよね😢


扉。

壁だらけ。


今日の下手端席の良かったのは真ん前に竜兄の電機屋さんが立ってくれたことダンスも割とずっと近くで見れた。竜兄ガン見してるところに良大くんがカットインしてきてハッとしちゃう自分ウケる🤣


もちろん社長にも倉庫奥の登場から釘付け。(そう言えば良大くん作業着似合うよね)

社長の言葉、歌、今日も沁みた。

繋がりを断たれること、罰、社会的な死


正々堂々は履き違いだ、差別のない世の中を夢見るんじゃなく足下をしっかり見て踏ん張れと社長に言われたこと、

三重唱の其々の思い、

解るなんて容易く言えないけど突き刺さる。のし掛かる。本当に答え出せない。

直貴があらゆる立場を経験してるのエグすぎるよ😢

答え出せないのは苦しいけど、一つのことしか知らなくて他を考えもせず簡単に答え出しちゃうことの方が怖いとは思う。


社長の歌と、直貴が光を浴びてひとりで噛みしめるように歌うGet Over Myself の後は拍手したいよなー。


無音のImagineが流れる中での兄弟の視線のみでの邂逅、spiくんの嗚咽、強張った顔で目を見開き歯を食いしばり真っ直ぐ前を見据えての客席下手通路退場。よく見えて苦しかったから、直後カテコに現れたspiくんの満面の笑顔に本当に救われた。ありがとうね😭


観終わってしばらくの間ホント苦しくてね、ぐったりしちゃう。ツライツライとツイートして、あ、これ誉めてるんだけど伝わるかしらと心配になってしまった😅

いろんな立場や視点を体感することのできる演劇。それを若い子たちにこそ観てもらいたいからこのキャスティングなんでしょうね。しかしミュ歌唱とポップス歌唱の違いがよくわかる。GOMは同じ歌を7メンたちと良大くんが歌うから歴然。言葉が入ってくるのは良大くんだけど、ロックバンドのボーカルがあれだと確かにカッコよくないよな。


社長と直貴の「差別は当然なんだよ」「当然ですか!?💢」という遣り取り、刺激的で印象に残るよね。この社長が嫌な奴に見えないことはすごく重要だし難しいと思うよ。

Imagineじゃなくてさって、そう言えば歌舞伎座で今「夢見る力」とか言ってるのと真逆なんだよな。

そう、Imagineが決して鳴らないじゃんこの劇。決して実現なんかしないってことなんですわ。


不思議朝起きたら急に紗穂ちゃん朝美のソロ曲のメロディが頭の中に湧いてきて回り始めた。もう何日も経ってるし、ソングブックの歌詞を見ててもメロディ思い出せてなかったし、かと言って一所懸命思い出そうとしてた訳でもないのに。

同時に、♪これが最後の願いです これが最後の手紙ですも良大くんの声で思い出されて「てーがーみーでーすー」と「かーぞーくーさーえー」のとこってなんか葬送曲みたいだよなぁとふと思ったりした。