"国家と芸術家 三部作"ってアツいじゃん?
第一作『エーリヒ・ケストナー〜消された名前〜』を配信で視て、悪くない感触だったので第二作フジタのチケット買ったのよ。
ケストナーもフジタも詳しくは知らないから単純に「へぇーそうだったんだー」って楽しめる。評伝劇って言うのか。
ふぅ…めちゃめちゃ銃剣突きつけられて、傷ついたわ。
芸術と社会、芸術と大衆、芸術と政治…
私は芸術家ではないし、芸術家の見方で社会を見ることはできないし、演劇はエンタメとして享受しているし、大衆だとは思ってないけど所詮大衆なんだろうなぁとも思うし、苦しい、引き裂かれる気持ち、あなたの目で私は世界を見ることができないという切なさ悲しさ、芸術家と鑑賞者との対話は果たして可能なのだろうかって、よく考えつく寂しさ。あるいは、あの人たちは私と違うってこちらから線を引いてしまってるのだろうか。
フジタの影としてムラナカを置いてるのは良かったなー。
「日本人の"血"が何かをさせる」という考え方に疑問・嫌悪を感じるのは森フォレとかの名残かも。
フジタはすごい芸術家然とした人ではない描き方だったよね?ポピュリズム寄りじゃん。フランスで評価されたのもジャポニズムのおかげだったことは否定できないし。
画家として生きたい思いは強かったけど。
ムラナカと2人でひとつの人格だったんだろうけど、表面的にはあんな感じだったのかな。まぁ、画風を変え自身を変えていく、軽やかと言えば軽やか。強靭と言えば強靭。でもその根底が「飽きられないために」だったら、それってどうなん?
これが罪ならば、罪を見ろ!
フジタを演じてる俳優はチャーミングな人だった。間瀬さん。へぇ似顔絵ほんとに描いてるんだ。
朝日の記者さんの描き方とか台詞エグかったよねー。"真の平等"が実現できてるんじゃないかと言って戦争を肯定する考えが頭をもたげてくる感じ、分からないではないから怖かった。朝日って名前出してる役にこれを担わせるのは結構攻めてる小劇場風味…ちょっと居心地悪く思っちゃった自分を観測。
住喜代志という実在した人物なんだ。この人も興味深い。演じてた俳優も良かった。二條さん。
従軍画家とか聖戦美術展とか、知らなかったなー。美術展を新聞社が主催するのってごく普通に思ってたけどこういう経緯で始まったことなのか?フジタの死後、妻は新聞社主催の展覧会への出品は断ったらしい。
国立新美術館開館10周年記念 シンポジウム1「展覧会とマスメディア」:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape
ははん、やっぱり美術界の中でも問題意識はあるんだな。
はじめましての印象さん。題材もテイストも劇チョコライクで「観たい、知りたい」と思わせられる、わりと私の好みに合ってる劇団だと思うけど、作演はたぶん古川さん日澤さんよりだいぶ真面目?
フジタは戦後には戦犯と見られて(紙芝居の親方だってそうだったんだもんね)、Wikiによればそんな日本に愛想を尽かして渡仏(日本を見限るような捨て台詞さえ残してる)・帰化し、日本には戻ることなく生涯を終えたらしい。フジタの死後に作品を管理した妻も、彼の作品を日本画壇の画家と並べることは拒否したとか。
そうか一般にはそういうふうに捉えられてるんだね。
藤田嗣治という画家の人生は興味深い。
ケストナーの劇を視た後に『飛ぶ教室』を読んでグッときたけど、作品を見つつフジタという人のことを考えてみたいなぁという気持ちになった。